「しおりは生まれながらの奴隷になるんだよ」
最初に彼はそう言った。
「おいで」「僕の許へおいで」「可愛がってあげる」
「でもね」
でも・・・?
「僕の奴隷として、新しく生まれるんだよ」
「奴隷として暮らすんだよ」
そうして連れて来られたのは、メインランドのプロテクト・ウォーターに面したビーチに立つ邸だった。
大きな窓、選び抜いたことが一目で分かるような上質の家具、白で統一された明るいリビング。
その上空に、この赤い部屋。
赤で統一された豪華なインテリア。まだその頃は檻もなかった。
禍々しい道具や鎖をつなぐためのものがあちらこちらにあるのに、想像したようなおどろおどろしさは全くない。
むしろ、静謐。空気さえ冷えているように感じた。
ここで私は最初の首輪を彼から嵌められた。
それから2ヶ月。今は当たり前のように、この海沿いの邸で二人で静かに暮らしている。
彼は、ほんの少しシェイプをいじっても眉の形を変えても気づいてくれるような、心こまやかな優しい恋人であり、私の最愛の主になった。