ある日見た映像。
裸の女。私と同じようにスチールの首輪には鎖をつながれて這い、
主人の命令のままに、延々と投げられた骨をくわえて戻ることを繰り返していた。
そう、まるで私の生活の一部をそのまま映像にしたようなものだった。
正視できる姿じゃなかった。
あまりに惨めであさましく、映像の中の女は狂っているとすら思った。
でも私だって主のためになら同じことを喜んでする。
なら、私も狂ってる?
それをさせる主は?
主は映像の中と同じ視点。映像の女と目の前の私は違う女だというだけ。
狂っていると感じないでいられるのか?と尋ねた私に、主は
「それはお互いに一種トランスしてるんだよ」
と答えた。
「夢ではないけれど、うなされているような、でも興奮してぎらぎらして」
「ちょっと異常な状態ではあるな」
・・・自分はどうしてあんなあさましいことをするんだろう?
「うん」
「でもそれで興奮する自分がいるんだよな」
・・・はい。そうです。
「理屈では説明できないから」
・・・ええ。
でもあさましい。醜いとさえ思う。
「俺だってしおりを嫌いだからやっているわけじゃない」
「好きな女にだから」
「跪かせて弄ぶ、犬のように扱う」
「好きな女にそうさせたいと思うんだ」
「変な精神構造だな」
私は黙って主の膝に頭をこすりつける。
そうまるで、本物の犬のように。
多分その仕草がいちばん気持ちが伝わる気がするから。
主も大きな犬を撫でるかのように、髪から背中までを撫でてくれる。
「大好きだよしおり」
「酷いことしてやるね」
・・・はい。ひどくしてください。
「よしよし」
「玩具にして、たくさん酷くしてやるからね」
・・・はい。