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起き上がった瞬間、足の間からとろりとそれが流れ出した。
突然の生理で血がこぼれ落ちたときに似て、
体の栓が抜けてしまったような、なんとも頼りない感覚。
私は思わず口を開き小さく声をあげる。
どうした?と顔を上げる主。
私は首を振る。なんでもないのです。
なんでもない。大丈夫。
・・・だけど。
ふっと思いついてしまう。
そんなはしたないことをしたら主にどう思われるだろうと考えるけど、
でも、そうしたくてたまらなくなって、
たまらなくて
たまらなくて
我慢できなくて
私は自分の足の間にそっと手をやる。
流れ出したものを中指でなぞる。
それでも足りなくて、慎重に襞をさぐり、開き、
指先でそこに溢れていたものを掬いとる。
その指を口許に持っていき。
目を閉じて、軽く開いた唇に押しあてる。
このまま舐めて味わうのも素敵だけれど、
せっかくだからとそれを丁寧に唇に塗りたくる。
溜め息がこぼれる。
今度は薬指。紅差し指。
まだきれいなその指で、やさしくやさしく唇をなぞる。
紅でそまるように、その液体で染まればいいのにと思う。
吐息のような呼吸でうっとりと目を細めた私を見て、主が言った。
「いやらしい目をして・・・とろんとしてるな?」
・・・はい
だって私はこれが好き
中毒なんだもの・・・
「しょうがない、そんな中毒患者はこの城で幽閉だな」
・・・え?
「裸同然で、良くなるまでここで幽閉だ」
・・・そんなことを言ったら、私永久にここから出られません
「俺が良いと言ったときは出ていいことにしよう」
「用事があるときは許可を出すよ」
・・・そんな
「許可無く出てたらお仕置きというのも楽しそうだな」
「中毒患者が勝手に外に出るのはいけないだろう?」
「治療中なんだから」
楽しそうに主は笑う。
・・・じゃあ地上にhやIが遊びに来てくれたときはどうしたらいいのですか?
「降りて会えばいいよ。でも出たことにはお仕置きだよ」
平然と矛盾を言う。
いくら私でも、買い物に行かれないどころか
地上の自宅にも降りられない生活は続けられないだろう。
何のために居間に猫を飼い、床下に波音を仕込んである?
休日、私が一人そこでぼんやりと長い時間を過ごすのが大好きだからだ。
そんな時にふらりと現れてくれる友人と過ごすのも、主がいない時間の贅沢。
その楽しみを奪われるのは嫌だ。
・・・ああ、私が、してはいけないことをできるように。
そのために主はこんな理不尽を言っているのかも知れない。
お仕置きと称して私の嫌がることをして嬲りたい主に、
罰されて安堵する私。
良い奴隷でいたいと真面目に従順になり過ぎてしまう私が
主の言いつけを破れるように。
そうして理由はともあれ罰をうけられるように。
それで自分が楽しめるように。
それで私が楽になるように。
・・・それならば嬉しい。
この主そのもののような温かく広い城で、囚われて。
自分が主のものであり、その理不尽にすら服従する奴隷であることに
うっとりと浸ろう。
「理由はどうあれ、事前の許可無く出たら、何らかのお仕置きはやろう」
「嬉しそうだな?」
・・・お仕置きされることが嬉しいんじゃない、閉じ込められたことが嬉しいのです
ふふ、と主が優しく笑う。
「そういう決まりを作られたことが嬉しいんだな」
ああ、この人はわかってくれている。私はそう思い安堵する。
もう乾いてしまった唇を撫でてくれた主の指が、口の中に差し込まれた。
私は主の目をみつめたまま、それをくわえて舐め回す。
飲み込み、吸い、締め上げて奉仕した。
主が穏やかに言う。
「閉じこめておいて気が向いたらこんな風に玩具にできる奴隷がいるのは贅沢だな」
・・・いいえ
だってそのために私を飼ってくれているのですから
ここに閉じこめられて。
主に閉じこめられて。
贅沢なのは私です。