2011年5月15日日曜日

幽閉






主のお気に入り、更新しています。こちらからどうぞ。




起き上がった瞬間、足の間からとろりとそれが流れ出した。
突然の生理で血がこぼれ落ちたときに似て、
体の栓が抜けてしまったような、なんとも頼りない感覚。
私は思わず口を開き小さく声をあげる。


どうした?と顔を上げる主。
私は首を振る。なんでもないのです。
なんでもない。大丈夫。




・・・だけど。
ふっと思いついてしまう。

そんなはしたないことをしたら主にどう思われるだろうと考えるけど、
でも、そうしたくてたまらなくなって、
たまらなくて
たまらなくて


我慢できなくて

私は自分の足の間にそっと手をやる。



流れ出したものを中指でなぞる。
それでも足りなくて、慎重に襞をさぐり、開き、
指先でそこに溢れていたものを掬いとる。

その指を口許に持っていき。
目を閉じて、軽く開いた唇に押しあてる。
このまま舐めて味わうのも素敵だけれど、
せっかくだからとそれを丁寧に唇に塗りたくる。


溜め息がこぼれる。


今度は薬指。紅差し指。
まだきれいなその指で、やさしくやさしく唇をなぞる。
紅でそまるように、その液体で染まればいいのにと思う。


吐息のような呼吸でうっとりと目を細めた私を見て、主が言った。


「いやらしい目をして・・・とろんとしてるな?」


・・・はい
だって私はこれが好き
中毒なんだもの・・・


「しょうがない、そんな中毒患者はこの城で幽閉だな」


・・・え?


「裸同然で、良くなるまでここで幽閉だ」


・・・そんなことを言ったら、私永久にここから出られません


「俺が良いと言ったときは出ていいことにしよう」
「用事があるときは許可を出すよ」



・・・そんな


「許可無く出てたらお仕置きというのも楽しそうだな」
「中毒患者が勝手に外に出るのはいけないだろう?」
「治療中なんだから」



楽しそうに主は笑う。


・・・じゃあ地上にhやIが遊びに来てくれたときはどうしたらいいのですか?


「降りて会えばいいよ。でも出たことにはお仕置きだよ」


平然と矛盾を言う。


いくら私でも、買い物に行かれないどころか
地上の自宅にも降りられない生活は続けられないだろう。

何のために居間に猫を飼い、床下に波音を仕込んである?
休日、私が一人そこでぼんやりと長い時間を過ごすのが大好きだからだ。

そんな時にふらりと現れてくれる友人と過ごすのも、主がいない時間の贅沢。
その楽しみを奪われるのは嫌だ。




・・・ああ、私が、してはいけないことをできるように。
そのために主はこんな理不尽を言っているのかも知れない。


お仕置きと称して私の嫌がることをして嬲りたい主に、
罰されて安堵する私。

良い奴隷でいたいと真面目に従順になり過ぎてしまう私が
主の言いつけを破れるように。
そうして理由はともあれ罰をうけられるように。


それで自分が楽しめるように。
それで私が楽になるように。


・・・それならば嬉しい。
この主そのもののような温かく広い城で、囚われて。
自分が主のものであり、その理不尽にすら服従する奴隷であることに
うっとりと浸ろう。



「理由はどうあれ、事前の許可無く出たら、何らかのお仕置きはやろう」
「嬉しそうだな?」



・・・お仕置きされることが嬉しいんじゃない、閉じ込められたことが嬉しいのです


ふふ、と主が優しく笑う。


「そういう決まりを作られたことが嬉しいんだな」


ああ、この人はわかってくれている。私はそう思い安堵する。




もう乾いてしまった唇を撫でてくれた主の指が、口の中に差し込まれた。
私は主の目をみつめたまま、それをくわえて舐め回す。
飲み込み、吸い、締め上げて奉仕した。


主が穏やかに言う。


「閉じこめておいて気が向いたらこんな風に玩具にできる奴隷がいるのは贅沢だな」


・・・いいえ
だってそのために私を飼ってくれているのですから



ここに閉じこめられて。
主に閉じこめられて。


贅沢なのは私です。





 

2011年5月5日木曜日

今ならわかるような気がするのです

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もうずっとずっと前の話。
まだ私がここへ来たばかりの頃のこと。


主はにこにこと笑いながらいつも私にこう言っていた。
「悪いことをしたらお仕置きだよ」


主がお仕置きをしたいというのはわかってた。
でも私は悪い奴隷にはなりたくなかった、良い奴隷でいたかった。


その頃は友達も一人もいない、滅多に外にも出ない生活。
悪いことってどんなこと?
はしたない服を着て一人でBDSMのスポットに出かけてみる?
人の視線を意識しながら道具で遊んでみる?
もの欲しげにうろついてみる?


そんなことしたくない。
そんなことできるわけがない。


じゃあどうしたらいいのだろう?
良い奴隷でいること、お仕置きをされないようにすることで
主が私で楽しむことができないのなら、
私はやっぱり悪い奴隷だ。


どうしたらいいのだろう?
どうしたら悪いことをせずに主を楽しませることができるんだろう?


それがどうしてもわからず、泣いたことがあった。
もうずっとずっと前の話。





最近になってそのことを思い出した。
あの時わからなかった主の望みを、私はどうしたらよかったのかを、
今ならわかるような気がする、と。


してはいけないことをする必要があったんじゃない。
良い奴隷でいようとしたのはきっと間違ってない。


今ならわかる。良い奴隷のまま悪い奴隷になればいい。
従順で卑しく、欲しがりのはしたない奴隷になればいい。
どれだけ主を欲しがっているかさらけ出して、
その淫らさを主に罰してもらえばいい。
主の快楽のために何でもする淫らを罰してもらえばいい。
きっとそういうことだったんだ。



主は笑って答えてくれた。


「そうだよ。今もそうだ」
「だからしおりは何をしても叱られるとも言える」
「しおりがするはしたないことを俺は喜んでいるとも言える」
「矛楯のなかで戸惑うしおりの姿を楽しむために、振る舞いや躾は厳しくして」
「叱る。はしたないと叱り、もっとはしたなくさせる」
「矛楯。まさに矛楯を楽しんでるんだな」




あの頃わからなかったことが、今ならわかる気がする。


蔑まれ貶められる屈辱に酔い、苦痛を快楽にかえるマゾヒズムを恥じ、恐れてた。
罪深いと思っていた。
それは今も変わらない。


でも、主は私を罰してくれることで、私の罪を負ってくれる。
主によって許される。


そう私は許されたい。罰されたい。
「悪いことをしたらお仕置きだよ」と笑う主が、
女を罰し許すことで愛おしみたいように。


従順に、教えられた淫らな楽しみに中毒していけばいいんだ。
許されるためには罪が必要なのだから。
最低の淫乱奴隷と咎められることが、最高に愛されること。
主の矛盾に溺れていればいいんだ。



 

2011年5月2日月曜日

矛盾

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��主のお気に入り、更新しています。こちらからどうぞ。




私は主に甘やかされていると思う。
私はあれもこれもと数を欲しがるタイプではないけれど、
気に入ったものはどれだけ高くても欲しい。
首輪やカフでの服装の不自由の分、主も私のおねだりには甘い。


そうして贅沢に作られた私の体に、
主は自分の楽しみのための色々なものを付け加えてくれる。


主の好みのきれいなスキンに、贅沢で淫らな衣装。
それに、うんと淫らな反応ができる体で。
きっと私は主にとびきり大切に作られている。


だけど、その体を。


主は縛り歪め、痛めつけ、痕を残し、
色々なもので汚し、罵り、貶める。
この場所では私は立つことも許されていない。
膝をつき手をつき、床を這うことしかできない。


それでも主の道具としてはしたない声をあげながら、
自分はなんて卑しい体なんだろうと思う。
主に大切に作られた体なのに、床に伏してまるで踏まれるのを待つよう。
卑しい、淫ら、最低・・・。




主は「最低と蔑むために、最高の体を作るという矛盾だ」と言う。

「不思議ではあるけど、自分では違和感はない」
「それがサディストたる所なんだろうなw」



・・・でも自分も、蔑まれれば蔑まれる程、翻弄されればされる程、
その時はどん底に苦しみながら、でも後では愛されていると思える。
それと同じかな・・・。


「わざわざ綺麗にしておいて汚すんだよなw」


うん、自分も汚される分綺麗でいたいし、
多分羞恥心があるのは、辱められたいからかも知れない。


「そうかも知れないな」
「好きだから虐めたいという、そこからSMは矛盾だもの」



そう、好きだから虐められたいというのも矛盾。


「虐めたい、汚したい、蔑みたい」
「その反動の分だけ、最高の体にして」
「飾るものも綺麗な物をつけてやりたいと思う」



それは・・・イコールそれだけ愛していると言ってくれているように感じる。


「その通り」
「どうでもいい相手なら、虐めたいとも思わん」
「裏腹だな。虐めたいからこそ、好き」