ほしい
去年12月。
PC側の問題かSL自体が不調だったのか、私のビューアの画面はひどいものだった。
何分待っても読み込まれないテクスチャ、まったく形にならないスカルプトプリム。
出かける気にもなれずじっとしていたけれど、灰色だらけの画面では優しい気持ちにもなれない。
ぐずぐずと主に愚痴をこぼしていた。
ようやく表示が回復したのがクリスマスを過ぎた頃。
それからは年末年始の賑やかな時期。
数日前、もう随分主に甘えていないと、私が先に音を上げた。
自分ばかり欲しがってるみたいでいやだとぐずり、拗ね、苛立っていた私を拘束して
主が笑った。
「俺だって考えてたよ」
「どうなってたか教えてやろうか」
主が私の目を見ながら自分のベルトに手をかける。
私は思わず顔を背ける。
自分がなんてはずかしいことを望んでいたんだろうと思う。
抱かれたくて仕方がなくて
痛くされたくて苦しめられたくて、
玩具にされたくてどうしようもなかった。
それがもうすぐかなう。
嬉しいはずなのだけど、奴隷としてはこんな幸せなことはない筈なのだけど。
私はなんて淫らなことを望んでいたのだろう。
自分への羞恥でくらくらする。
「ほら」
「見ろ」
主が不遜なほどの笑顔を浮かべながら、ゆっくりと自分の性器を取り出した。
私はもう顔を上げることもできない。
「ほら」
「こんな風になってたんだぞ」
いやだはずかしい。
首を振る。
あんなに欲しかったのに。
抱かれたかったのに。主が性欲を満たすための道具になりたかったのに。
はずかしい。
「こんなになって」
「お前をどうしてやろうか考えてたんだぞ」
凶々しいほど硬直した性器。
うめき声しかあげられなくなった私を主は床に座らせ、足を開いて拘束する。
「ほしいか?」
・・・ほしいです
一度口をついた言葉はもうとめどがない。
私は首をふりながらほしいと叫ぶように繰り返した。
「ふふ」
「玩具のお前をそんな簡単には楽しませないよ」
もう恥も外聞もなくじれて足をばたつかせる。
とろとろとあふれて流れ落ちる、忌まわしい感触。
いやだ。
ほしい。
ほしい。
なおも私をじらすように主がゆっくりと腰を下ろす。
あくまで確認するためだけに、指先だけでそっと私の性器に触れる。
「いやらしい」
主はその手を目の前にかざしながら冷たく笑った。
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