2011年6月13日月曜日

狂気の時間へようこそ

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「見えない所から打たれるのと、見えるように打たれるのは
どちらの方がいいんだろうな」



私は見えない方がいいと答える。
見えたら怖いから。
逃げられもしないのに、次々と襲ってくる苦痛を数え
皮膚の色がかわっていくのを見ているのは耐えられないから。
それなら目を閉じて歯を食いしばって耐えさせられる方がいい。


「いや、でもしおりには見せつけながらの方がいいかな」


どうして?


「痛いのが嫌なのと、痛くして欲しいのが混ざったしおりの表情が見られるだろ?」


主が笑う。






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「しおりの目の前に鞭をさしだして」
「使い込んだ革の匂いをたっぷり嗅がせて、やさしく頬や首筋に滑らせてやって」
「しなやかさをしっかり確認させてから」
「体の色んな部分に打ち付けてやろうな」



・・・うう


「柔らかい革は当たった部分から回り込んで、先端で一番痛みを与えるから」
「しっかり体をなぞりながら計らないと」
「回り込む先端をどこに持っていくか」
「そのためにこうしていつも最初に体をなでるようにするだろ」



はい


「腿の辺りを叩いたようでも、回り込んで尻に痕をつけていく」
「背中側からだと柔らかい乳房が狙えるな」



・・・痛すぎて苦手です


「ふふ」
「だから楽しい」
「痛めつけると興奮するよ」
「背筋につんとした快感が走る」







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さっき頬であじわった革は乾いて冷たく、けれどとても優しかった。
かつて生き物の皮膚であったもの。懐かしいような感触。


けれどそれがしなりながら体に飛んでくる時は、
別のもののように熱く、真っ白になるような痛みを弾けさせる。


主がそれを軽く振る。
ひゅんと空気が鳴った。






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「ラテックスの上からだから、今日は手加減しないですむな」


楽しげな主の声。


数分後には私は自分を手放させられ、ただ叫ぶだけの人形になっているだろう。
苦痛に屈服させられ、無条件の服従のスイッチを入れられているだろう。


「いくぞ」


主が誘う目眩く狂気の時間の開幕。





   

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