マゾ的思考
いつの間にか、ビューアの下中央の『立ち上がる』のボタンがなくなっていた。
主が「おいで」という場所に、私は当たり前にsitする。
そこでボタンが出ないことにさえ気づいていなかった私に、主は
「ほら、ないだろ?」
そう笑って教えた。
その時は、それがどういうことかわからない。
けれど、段々気づいていく。
以前なら、どうしても嫌だと思うことをさせられた時に反射的に立ち上がり逃げ出すようなこともできた。
でももう、それもできない。
私は主の完全な操り人形。
疲れている時やストレスが溜まっている時、気持ちが不安定な時は、余計にスイッチが入りやすくなる。
私のその傾向を知り尽くしている主は、私がへとへとになってログインしたこの夜、容赦がなかった。
「少し遊んでやろうかな」
そう楽しげに言い、尻尾をつけさせて犬と私を呼んで笑い嬲る。
「犬はスカートを履かないね」
脱がせた後、もっといいことを思いついたとばかりに貞操帯に着け替える。
以前に貞操帯を着ければどうなるかと叩き込まれている私は、もうそれだけで体が蕩けだす。
・・・お願いですから外してください、
苦しい、あふれてしまう
ただそう繰り返す私に自慰を命令し、返事をためらうとお尻を叩き、痛みの記憶に追いつめられて私が屈服するまで止めてくれなかった。
主が私を操作する。私は足を開かされ、自分の性器をいじらされる。
「見てやるよ」
「手伝ってやろうか?」
主は自分の手を添えて嬲り、羞恥と屈辱と望まぬ快楽に私が半狂乱になり、お願いですいかせてくださいと何度も叫び出すまでそれを続けさせた。
それなのに、いかせてくれることもなく。
無慈悲に私を足の間にひざまずかせ、口に出し、それを溢れさせて。
精液をたらしたままいつものようにそのまま口で綺麗にすることを強要して、ゆっくりと時間をかけてくわえさせた後、ようやく私を刺し貫いた。
もうその後のことはよく覚えていない。
叩かれながらのセックスに、私は快楽と痛みで泣き喚きながら「ありがとうございます」と繰り返した。
・・・しおりの体を使っていただいてありがとうございます
おちんちんくださってありがとうございます
主はそれでも私を叩き続ける。
「俺を嫌いか? 痛くする主嫌いだろ?」
好きです、大好きです
「こんな叩くんだよ」
好きです、叩いてくださってありがとうございます
どれだけありがとうございますと言っても許してくれない主。
私は、どうして、ひどい、と言ってはぼろぼろと泣いた。
「その恨めしい顔が見たいんだよ」
「脊髄に快感が走るよ」
・・・もう返事などできるわけがない。
「全部晒せ、こんな変態だって」
そんな
「はい、だろう」
「こんな意地悪されて嬉しいか」
うれしいです、ありがとうございます
体がひっきりなしに収縮し、息ができない。
ようやく主が声をあげて射精してくれた時には、もうただいきつづけるだけの人形になっていた。
放心。
限界を超えた苦痛と快楽で真っ白になり、皮膚は冷えきっていく。
だからこそ、拘束されていても主の体温を感じとろうと、私の体は必死になる。
「しおりの涙が俺の薬かも知れないな」
「もっとひどくしてやろうと思わせる薬」
「しおりの戸惑いが俺の快感になる」
私は小さな声で呟く。
・・・私がひどくされたいと思うのは
それは、これでもついて来るかと、これでも好きかと問われてるようで
だからそれに応えられれば、私がこんなにご主人さまを好きってもっと信じていただけると思うから
ただそのためだけに、もっと屈辱におちたいと思う・・・
「素晴らしい、マゾ的思考だ」
主は微笑んで、私を抱き寄せてくれる。
「いやらしくて、惨めな、俺のオモチャ」
「愛おしくて、もっともっとひどくしたくなるよ」
私はその腕の中で主の夢を見ながら、その夜深く深く眠った。
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